展示車両全部見せます! 京都鉄道博物館③ 2018
展示車両全部見せます! 京都鉄道博物館②のつづき…
本館3F
本館3階の南側に設けられたスカイテラスは、京都の町並みを背景に行き交う列車を眺められるスポット。
駅や指令所で使われている「列車情報表示装置」が設置されています。
目の前を走る在来線列車の情報が画面に表示されます。
ずっと見てられますよ。(笑)
走ってきた700系と東寺をパチリ。
700系が東海道新幹線からいなくなる日も遠くはないので、この光景も見れなくなるんですね(´;ω;`)
京都タワーとSLスチーム号をパチリ。
それでは本館を出て扇形車庫に向かいます。
本館と扇形車庫への連絡デッキの横には「SL第2検車庫」があり、蒸気機関車の検修作業風景を見学することができます。いわゆる‘‘SLの総合病院‘‘です。
この日はC62形2号機の1年検査とC57形1号機の中間検査Aの検修中でした。
国鉄塗装のDE10形1118号機。
梅小路ではDE10‐1118号機・1156号機・1104号機のDE10トリオが在籍しており、現役として嵯峨野観光線や梅小路内の入替作業などで活躍しています。
この博物館では毎日SLが運行されているのも大きな魅了の一つとなっています。
その名も「SLスチーム号」。開館に合わせて客車もリニューアルされました。
1日15本以上も実施されており、約500mの線路を10分で往復します。
この写真は京都タワーとSLスチーム号の迫力満点の煙を1枚にパチリ。
どのSLが牽引するかはその日のお楽しみです。
この日は8620形8630号機が運用に入っていました。
★8620形8630号機
輸入されたSLを参考に国内で初めて本格的に量産された旅客用SLで、製造量数は670両以上。「ハチロク」の愛称で親しまれ、全国で活躍。その安定した性能から60年以上にわたって活躍しました。
扇形車庫
現存する日本最古の鉄筋コンクリート造りの扇形車庫に、動態保存車両8両(営業運転車両3両)を含む蒸気機関車20両を保存・展示されています。
この迫力満点の光景が見られるのもここ梅小路だけ!!
カメラのパノラマ機能を利用して撮ってみました。
オモシロイ写真が撮れました。
それでは扇形車庫に入っている機関車を一両ずつ愛称とともに紹介することにします。
①C56形160号機
1935年から製造された小型のSLで、旅客・貨物用で活躍しました。C12形をベースに設計されスタイルがよく似ています。現在も走行可能で北陸本線の「北びわこ号」などで活躍中。「ポニー」の愛称を持ちます。
②D51形200号機炭水車
D51形200号機の炭水車。⑥で詳しく解説。
③C61形2号機
戦後、旅客用のSLが不足していたため、貨物用のD51形のボイラーなどを再利用して製造。地方幹線で優等列車を牽引しました。石炭を自動でボイラーに投入する装置(メカニカルストーカー)を日本で初めて採用しました。愛称は「シーロクイチ」。
④DE10形1156号機
⑤7100形7105号機「義経」号
展示車両の中で最古参となる1880年アメリカ製のSL。北海道で初の鉄道が開業するのに合わせて輸入。「義経」と名づけられ大正末期まで活躍し戦後に復元され再び自走可能になりました。
⑥D51形200号機
1938年製造の「デゴイチ」。長らくここ梅小路で動態保存されていましたが、2014年に本線復活が発表され3年間の整備期間を終え、11月25日から「SLやまぐち号」として営業運転を開始。翌26日にはC57 1との重連運転も実施された。2日間の復活運転を行った当機は、12月3日発で新山口から梅小路運転区へ回送され現在同区内で検査・整備中。
⑦?(名称不明)
⑧D50形140号機
大量に製造された9600形の後継機として設計。出力が大幅にアップされ、急勾配や長大編成の貨物列車でその威力を発揮しました。このD50形で培われた技術がのちのD51形の成功につながったといわれています。愛称は「デゴマル」。
⑨9600形9633号機
SLスチーム号を牽引していた「ハチロク」と同時期に量産された大正時代を代表する貨物用の蒸気機関車。愛称は「キューロク」で軽量ながら力が強く全国で活躍。末期は入れ替え用となり、国鉄では最後まで走ったSLでもあります。
⑩D51形1号機
日本を代表する蒸気機関車「デゴイチ」の貴重なトップナンバー。1号機をはじめとする初期製造の95機は上部に給水加熱器を覆うカバーが長くなっており、「ナメクジ」の愛称を持つ。22・23号機はドームがさらに運転台まで延びているため「スーパーナメクジ」と呼ばれていました。
⑪(前)B20形10号機
工場や機関区での入替用に製造された超小型SL。戦時中に製造されたため、部品を減らすため徹底的に構造が簡略化されています。ずっと静態保存でしたが、02年に復元工事が行われ、自走できるようになりました。愛称は「豆タンク」「ピーコロ」。
⑪(後)1070形1080号機
東海道本線の新橋~神戸間で急行列車が増発されたことに伴い、イギリスから輸入されました。当初はテンダー式でしたが、のちにタンク式に大改造されました。愛称は設計会社の名前から「ネルソン」で親しまれています。
⑬C62形1号機
特急列車などの牽引で活躍した日本最大の旅客用の蒸気機関車です。ボイラーはD52形から流用。シリンダーと走行装置はC59と同じものを新造し自動給炭装置(メカニカルストーカー)も取り付けられています。「シロクニ」の愛称で知られています。
⑭C55形1号機
C54形を改良して1935年から製造された中型の旅客用蒸気機関車。途中からは一部を設計変更の上、形式をC57に変更して製造されました。車輪1つあたりの重さが比較的軽いため、全国の地方路線で重宝されました。愛称は「シゴゴ」。
⑮C58形1号機
パワーとスピードを併せ持つSLとして、1948年から400両が製造され、旅客列車・貨物列車いずれも牽引できる万能機として、北海道から沖縄まで全国で活躍しました。愛称は「シゴハチ」。
⑯C11形64号機
老朽化した輸入SLを置き換えるためにC10型の改良機として1932年から製造されました。支線や構内入替用の小型SLで、軽量化のためボイラーの組立などに新技術を採用し以後のSL設計に大きな影響を与えました。愛称は「シーのチョンチョン」。
⑰D52形468号機
戦時中の輸送力増強のため突貫工事で製造された貨物用のSL。ボイラーが大きく、国鉄最強の出力を誇ります。デゴイチの1000tを上回る1200tの牽引力を目標に設計。物資のない中で製造されたため性能を発揮できず、のちに他形式に改造されたものも多かったようです。愛称「デゴニ」。
⑱C59形164号機
C53形の後継機として製造された旅客用蒸気機関車でそのパワーから東海道本線をはじめ特急列車の牽引機として、主要幹線で長らく活躍しました。国産の蒸気機関車として一番の長さを誇ります。愛称は「シゴク」。
⑲C53形45号機
客室の重量が増えたことなどから機関車もパワーアップさせる必要ができたため、シリンダーを従来の2つから3つに増やしました。パワーは上がったが保守が大変なため、短命に終わりました。愛称は「シゴサン」。
⑳C51形239号機
1919年から製造された旅客用SLで、同形式の動輪の大きさやボイラーの使用がその後の国鉄SLの標準となりました。性能もよく、超特急「燕」に使用されたほか、お召列車の牽引もまかされるほど信頼されていました。愛称は「シゴイチ」。
数台の機関車は実際に運転席に入ることができます。
レバーやメーターなど素人にはさっぱりww 勉強不足です…(-。-)
昔の梅小路機関区のミニチュア模型。
ここ梅小路運転区の歴史をここでヒトコト。
京都~大阪の鉄道開業に備えて、1876年(明治9年)に京都駅の北西に京都機関庫が新設されました。その後、1914年(大正3年)に京都駅の改良工事が行われた際、京都機関庫は現在の梅小路に移設され、二条駅付近に設置されていた二条機関庫と統合して梅小路機関庫と改称されました。
ここの扇形車庫は現存する最古の鉄筋コンクリート造りの機関車庫として国の重要文化財指定を受けています。
オハフ50‐68
正式な展示車両には含まれていませんがこのオハフ50‐68もれっきとした価値の高い車両です。国鉄が主に地方都市圏の通勤・通学時間帯の普通列車に使用する目的で1977年より設計・製造された一般形客車の系列。車体の色から「レッドトレイン」の愛称を持ちます。
中は休憩室として利用されています。車内に家庭用エアコンが設置され、裏側に配管と室外機が設置されています。もちろんですがトイレは使用不可。
北海道仕様のオハフ51形は後に客車の気動車化改造としてキハ141系気動車に生まれ変わりました。
強度構造の違いから国鉄・私鉄ともにほとんど成功例がありませんでしたが、本系列は客車としては軽量な50系客車に、新世代の軽量高回転エンジン(DMF13HS系エンジン)を組み合わせることによって、一定以上の成果を引き出しました。
4形式で合計44両が製作され、オハフ51形の2/3が本系列に改造され客車から気動車への改造車としては日本最多です。
客車から気動車に改造するなんてすごいですね。
ここでSLスチーム号の最終便を終えて8630形が帰ってきました。
石炭と水の補給中です。
現役の特急287系きのさき11号と100年前のSLとのコラボ。
燃料の補充を終え、転車台に移動。
サービスで3回転ぐらいして頂きました。(^^♪
この日は扇形車庫には入らず、ここに留置のようです。
旧二条駅舎
旧二条駅舎は明治37年に建設され、現役時代は日本最古級の木造駅舎といわれていました。平成8年に京都市指定有形文化財に指定された駅舎の中には展示の他、ミュージアムショップがあります。
SLにまつわる展示が盛りだくさん。
数ある模型の中には特急「あじあ号」で使用されていた流線形の「パシナ形」蒸気機関車の模型と流線形が特徴的なC55‐20の模型も展示されています。
幻のSL C63形蒸気機関車1/12模型。
日本のSLは1950年で打ち切られ、蒸気機関車を電化とディーゼルに置き換える方針だったが、幹線電化の進歩が思うように進まず、ディーゼル機関車の開発も遅れていたため、そのつなぎとして1955年に設計されました。
製造正式決定を前に無煙化の進捗状況と機関車の需給が再検討され、現段階では蒸気機関車の製造が絶対必要とはいえないとの結論に達し、当分の間は製造を見送り情勢を見守ることになった。そしてその後すぐ交流電化及びディーゼル機関車・気動車の技術が確立し、急速に電化・ディーゼル化が進むこととなり、C63形の製造決定が下されることなく幻の車両となりました。
朱色に塗られたC63 ‐1のナンバープレートが本館のエスカレーターの壁面に展示されています。
奥にはSLの仕組みやシミュレーターもありました。
半分はミュージアムショップになっています。
中でも面白そうだなと思ったお土産は左の「ブレーキハンドル型のペットボトルオープナー」と右の「大回りの旅クッキー」。
ペットボトルオープナーはSNSなどで話題になっていましたね。
今度、大回り乗車をするときにはこのクッキーを片手に回ってみようかな~。
最後に…
4時間超の見学でした。この日はあまり混んでいなかったため、じっくり堪能できました。そこそこ詳しく解説したつもりですが、実際はもっと見どころがあります。運転シミュレータやSLスチーム号などの体験などが今回はできなかったので次回は挑戦してみようと思います。
ちなみに…
鉄道博物館の目の前では新駅が絶賛工事中です。
2019年春の開業を目指し工事を進めてるようです。
京都鉄道博物館がある梅小路公園にはかつての京都市電の車両が数台保存展示されている「市電ひろば」があります。
なので『展示車両全部見せます! 京都鉄道博物館おまけ編』にて少しご紹介できればと思っています。
ここまで読んで頂き大変ありがとう御座いました。
よろしければ「おまけ編」もご一読くださいませ。