近畿でここだけ! SL北びわこ号乗車記(ハプニングあり) 前編 2018年春
今年もSL北びわこ号が湖北路を走る季節がやってきました。
2018年春季の運転は、3月4日、25日、5月27日の3日間。
牽引機関車は今年の5月で山口線引退が発表されたC56形160号機。
SL北びわこ号としての引退は発表されていませんが、可能性は否定できないので乗るなら今年しかないと思い、乗車してきました。
※2018年3月19日付けのJR西日本のプレスリリースによると、今年の5月27日にSL北びわこ号をけん引する機関車として最後の運行を迎えることが発表されました。つまり本線から引退するということになります。
個人的には残念ですが、SL北びわこ号として20年以上活躍してきたことを思うとお疲れさまでしたと労をねぎらいたいですね。
ちなみに、夏以降に運転するSL北びわこ号はD51形のけん引になるようです。(追記:3月19日)
さて、今回はその乗車記をご紹介します。
SLの入線1時間前に米原駅にやってきました。
駅にはこのような横断幕がはられています。
まずはネットで予約していた指定券を発券し、木ノ本駅までの乗車券を購入します。
指定券520円・乗車券410円。
駅の随所にSL北びわこ号の案内がされています。
SL北びわこ号は5番乗り場から発車します。
SL到着までしばしホームで待機します。すでに5番乗り場にはたくさんの撮り鉄の方が今か今かと待ち構えています。
時刻は9時30分。京都からEF65に引かれてやってきました。
ホームには入線せず、いったん4番線に入ります。
ホーム中央付近で切り離し作業が行われます。
EF65を4番線に残し、C56-160の自走でいったん客車の待つ留置線まで後退します。
その後5番乗り場には、名古屋発のしらさぎ3号が到着します。後ろよりに3両連結して金沢までは9両で向かいます。
8分間停車したのち9時56分に発車していきました。
さて時刻は9時59分、本日の主役「SL北びわこ1号」の入線です。
客車は12系。SLが貴重なのは言うまでもありませんが、この原型を保った12系客車も大変貴重な存在です。客車目当てで乗りに来る方も大勢います。
乗車するのは4号車。
種別表示は「臨時」です。
この国鉄型急行客車ならではのボックスシート。たまりませんね~。
車内は比較的製造時のままを保っています。特に洗面台は原型を完全にとどめています。
さて米原駅を発車します。
「ガックン」という客車特有の衝撃と共に前後に揺さぶられるような感じで加速。
これぞSL!
C56の愛称‘‘ポニー‘‘のごとく軽快に加速し、東海道線と新幹線の高架をアンダークロスします。
12系客車では今では聞くことがほとんどなくなった、客車車内チャイム「ハイケンスのセレナーデ」を聞くことができます。
米原より先の湖北地域の車窓は比較的のどかで、ゆったりとした景色が広がります。
車内ではボランティアのガイドさんが回ってきて、沿線情報を解説してくださいます。前方に見えてきた丸い特徴的な建物は、滋賀県立長浜ドームだそうです。
また、沿線ではたくさんの方が手を振って下さっています。車内の乗客もそれに応えるように手をふりかえし、とても心温まる光景が続きます。
沿線が一丸となってSLを動かしているのだなぁと改めて思いました。
しばらく走っていると、記念乗車証が配られました。C56とC57の2種類があるようです。
車内販売もあります。SLに関するおもちゃや、お菓子などが売られていました。
そうこうしている内に、SL北びわこ号一番の撮影地「河毛カーブ」に差し掛かります。SLも減速し、汽笛と共にモクモク煙を出します。ガイドさんによると例年より撮り鉄の方が多いと仰っていました。やはり本線の引退が噂されているからでしょうか。
SLは終点木ノ本駅に向かってラストスパート。
もっと堪能していたかったなと思っているうちに終点木ノ本駅に入線し始めました。
しかし、3号車がホームに入線しかかった途端、「ガックッ」という強い衝撃と共に急ブレーキがかかりました。
SLの非常ブレーキは初めてです。
車内放送:「急停車失礼しました。原因を調べております。しばらくお持ちください」
内心:「撮り鉄が、前に出すぎて停車したのかな。」と最初は思っていました。
窓を開けて前の様子を伺います。
何かやり取りが続いています。
緊急停止して10分。何も動きがありません。
私が乗車中の4号車はちょうど踏切上に止まってしまいました。
そりゃ、渋滞しますよねw。なんか申し訳ない感じ(ーー;)
15分後…
車内放送:「運転を再開します」
内心:「やっとか。まぁ少しでも長く乗れたしよかったかな」
と思うや否やまたしても非常ブレーキ。
内心:「またですか…」
先ほどから20mも進まない内にまたしても緊急停車。
車内放送:「前を走る列車による緊急信号を受信したため停止しています。しばらくお待ちください。」
内心:「どうなることやら(。´・ω・)?」
またしても前の方でやり取りが続きます。
2回目の緊急停止から4分後…
車内放送:「運転を再開します。木ノ本に到着です。到着時間が遅れましたことをお詫びいたします」
結局木ノ本駅には約20分の遅れで到着しました。
なぜ2回も停車したのかその場では説明はありませんでした。
気になったので後で調べてみると
内容は↓
概況
3月4日午前10時53分ごろ、当該列車が木ノ本駅に停車する際、ATSの非常ブレーキが動作し停車しました。運転士が運転台の計器類を確認したところ、本来であればATS機器スイッチが「前」位置の状態であるべきところ、「後」位置の状態であることが判明しました。
調査した結果、米原~木ノ本駅間をATSが正常に動作しない状態で走行していたことが判明しました。
原因
3月4日に当該列車の運転士が、梅小路運転区にて運転整備をする際に、ATS機器スイッチの確認を失念したためです。
だそうです。頼みますよJR西日本さん!
まぁほとんどの客がそんなに気にしておらず、むしろレア体験と思っているようですがww。
でもこれは1回目の緊急停止理由です。
では2回目の停止理由は?
これはSLを降りてすぐにわかりました。どうやら近江塩津発の新快速が木ノ本駅の1駅向うの余呉駅付近で鹿と衝突したためによるものだそうです。
まぁ、いろいろとハプニングがありましたが何とか無事に到着できたので、よかったです。
気を取り直して、、、
SLの到着後すぐに後ろから追いかけてきたEF65が3番乗り場に到着。
折り返し米原までの牽引を担当します。
先頭付近では記念撮影で大盛り上がり。
2番乗り場は大変込み合っているので、対面ホーム(1番乗り場)からSLの先頭を撮影してみます。
C56形蒸気機関車は簡易線区でのバック運転のために、テンダー側面を大きく欠き取って後方視界を確保したスタイルが特徴となっています。
細部まで観察できます。やはり、SLは動いてこそですね。
遅れていた上り新快速が20分遅れで到着したみたいです。
反対側ではEF65との連結作業が済み、米原への回送準備が整いました。
EF65はやはり‘‘青い客車‘‘がとっても似合いますね。
SL北びわこ号の運転開始当初は木ノ本 - 米原間にて、SL北びわこ号を逆機で牽引していましたが、特急・貨物・新快速の乗り入れなどによってダイヤに制限がかけられたことから中止され、回送列車となりました。
定期検査明けの試運転では、逆機でも運転されているみたいですが。
出発を待つSL北びわこ(回送)の隣を通過していくのはしらさぎ6号。いつもなら高速で通過していきますが、この日はホームにたくさんの人がいるため超低速での通過です。
30㎞/hも出ていないのではないでしょうかww。
ギャラリーの皆さんに汽笛で別れの挨拶をした後、しらさぎの後を追うように発車していきました。
木ノ本駅の改札を出ると、「ふれあいステーションおかん」という地域交流拠点があり、木之本を代表する名産物・工芸品や旬の農産物などが販売されています。この日はSL運転日ということだけあって、SLグッズも多数販売されていました。
さて、木ノ本の町を散策しましょうか。
近畿でここだけ! SL北びわこ号乗車記 後編 2018年春につづく…。